「銅像の修復前状況」
制作時の着色が汚く流れていました。
深緑系の単色で着色された銅像は、色が流れ落ち始めると、極端に目立って汚く見えます。
現在でも、このタイプの着色で新規に制作している会社がありますが、あまり良い着色方法とは思えません。(設置間もない銅像の着色直しを依頼されるケースもあります。)
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「ご依頼主との打ち合わせ」
色落ちは酷い状態ですが、欠損した部分などはありませんでした。
そのため、修理・修繕箇所はなく、表面の着色修復のみを行う事になりました。
お寺の仏像という事もあり、完全な新品の色ではなく、やや古色感を出し、味わい深い雰囲気にして欲しいというご希望がありました。
「屋外用の着色方法」を選択し、日々のお手入れも簡単に出来るようにする事になりました。
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「銅像の修復手順」
残っている着色や、ムラに発生した自然の緑青(青さび)を一旦落とします。
着けた色が落ちにくいようにする下処理を施した後に、基本となる色を全面に着色します。
乾燥後に布やタワシで擦って余分な塗料を落としながら、基本色を本体に固着させます。
ここまでの下処理を丁寧に行う事によって、本来の形を崩す事無く、薄くて強い着色をする事が出来ます。
その上に、周囲の雰囲気や像の形状に合わせて、異なる微妙な色を何色も薄く重ねていきます。
自然な緑青よりも強くて美しい、「経年変化による美しい青銅色」を着色によって作り出しました。
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「修復のポイント!」
火炎光背の炎と蓮座、お顔と身体の凸部に明るい色を差し色としてあります。
それによって、形状がはっきりと浮かび上がり、像の存在感も増しました。
着色方法は、屋外という事や手入れが簡単な事を考慮して、当社独自の「屋外用の着色」を施しました。
従来の銅像への着色方法よりも紫外線や熱にも強く、乾燥後は撥水するように処置しました。
従来の着色方法よりも色落ちが少ないだけでなく、普段のお手入れも簡単です。
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