有限会社 セキセイ堂

【地蔵菩薩】
修復前 修復後


場所: 東京都のお寺 

サイズ: 高さ、約1mの地蔵菩薩
修復作業期間: 1


「銅像の修復前状況」

かなり色落ちが酷く、鋳造時の修正箇所も目立っています。
本体の後ろに円光背があったはずですが、下部で折れて紛失していました。
毎日、柄杓で水をかけているとの事で、着色は完全に落ちて、経年変化による自然の緑青が出てきていました。
自然に発生した緑青は、銅という素材の味わいでもあります。
しかし、銅板屋根のように一定の形状ではない仏像の場合は緑青もムラに発生し、汚く出てきてしまいます。

「ご依頼主との打ち合わせ」

着色をしないで自然な緑青を生かし、色を整えるという選択肢もありました。
但し、その場合は定期的なお手入れも必要となるため、少人数で管理しているお寺では、現実的に大変だとご提案させて頂きました。屋外であり、毎日水をかけているため、「屋外用の着色」をする事になりました。

円光背については、御住職の判断で、「このお姿で馴染みもあるので、無いままで良いでしょう」という事になりました。


今回はそのままにしましたが、ご依頼主からの要望がありましたら、サイズの合う既製の光背を取り付ける事も出来ます。

「銅像の修復手順」

残っている着色や、ムラに発生した自然の緑青(青さび)を一旦落とします。
着けた色が落ちにくいようにする下処理を施した後に、基本となる色を全面に着色します。
乾燥後に布やタワシで擦って余分な着色を落としながら、基本色を本体に固着させます。(今回は黒をベースにしてあります。)
ここまでの下処理を丁寧に行う事によって、本来の形を崩す事無く、薄くて強い着色をする事が出来ます。
その上に、周囲の雰囲気や像の形状に合わせて、異なる微妙な色を何色も薄く重ねていきます。
自然な緑青よりも強くて美しい、「経年変化をした古色」を着色によって作り出しました。
毎日、水をかけるという事も考慮し、表面に撥水力のあるコーティングを施してあります。

「修復のポイント!」

黒地をベースにし、その上から古色感を出すように、微妙に異なる青銅色を重ねていきました。
写真で見ると黒だけの単色に見えますが、実際には随所に細工を施して深みのある色となっています。
背景が白御影石の墓石が多いため、意識的に強い色にして存在感を出しています。

セキセイ堂 銅像・ブロンズ像の修理・修復・クリーニング

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