有限会社 セキセイ堂

【興教大師】
修復前 修復後


場所: 東京都のお寺

サイズ: 高さ、約1mの興教大師
修復作業期間: 1日


「修復前状況」

この像は「銅像」ではなく、FRP像です。

FRPとは「Fiber Reinforced Plastics」の略で、「繊維と樹脂を用いて、強度を向上させたプラスチック」の事です。
金属ではありませんので、自然の緑青はふいてきません。
緑青は出ませんが、紫外線や風雨の影響でのダメージは当然あります。
表面のコーティングが剥げてきて、日焼けでむけた皮膚のようになっています。
南側を向いて太陽光を受けているため、着色も元の色から変色しています。
(背中側は変色しておらず、元の色が暗めの緑青色だった事がわかります。)

制作時の着色順は、まずFRPの上から銅粉塗料を塗ってあり、その上から銅像風に数色の塗料で緑青色に着色したのでしょう。
最後に、色止めとコーティングを兼ねてクリアーをかけたと思われます。
手間をかけた、良い仕事によって制作された事がわかります。

尚、亀裂や破損している箇所は見当たりませんでした。

「ご依頼主との打ち合わせ」

表面のコーティングの剥がれと、全体の変色が気になるため、背中側の色を参考にして元の緑青色に戻して欲しいとの事。

今はまだ亀裂や穴などはありませんが、表面のコーティングの剥がれと変色がしていますので、このまま放置しては本体の強度も弱ってきてしまいます。
色直しを行う事によって、着色皮膜が像の補強にもなります。
今回のタイミングで色直しを考えられたのは正解です。

「FRP像の修復手順」

表面の剥がれているコーティングと塗料を綺麗に落とします。
本体の損傷が無い事を確認し、着色が剥がれ落ちないように下処理をします。
次に、制作順序と同様に、銅粉塗料を全体に塗ります。

下地の銅粉色を生かすように、色バランスを見ながら濃淡のある数種類の緑青色を重ねていきます。
紫外線や雨にも強い塗料を使用し、最後に皮膜となるコーティングをしました。

「修復のポイント!」

今回は銅像ではなく、FRP像ですので、着色方法や使用する顔料が異なります。
また、小さな像であり、本体の損傷もなかったので、補強作業はしませんでしたが、必要な場合は裏からの補強なども行います。

「本来の色に戻すように」というご要望でしたので、着色手順も制作当時と同じようにしました。
しかし、全く同じでは、すぐに変色が始まってしまいます。

使用する塗料は「紫外線や雨にも強い」最新の超高級塗料を使用しました。
また、色落ちがしないような下処理と、最終コーティングには当社独自の技術を用いています。

セキセイ堂 銅像・ブロンズ像の修理・修復・クリーニング

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