銅像とFRP像の違いについて

皆様は、屋外に建立されている像の事を「銅像」と表現する事が多いと思います。
しかしながら、銅像といっても100%銅製のものは殆どありません。
実際は、銅(Cu)を主成分とした、錫(Sn)や亜鉛(Zn)を含む合金です。

その配合によって「青銅」や「真鍮」、「白銅」などと呼び名も変化するのですが、ここではそういう学術的な事は省略し、金属製の像のことを「銅像」と呼ぶ事とします。

「FRP像とは」
近年では銅像ではなく、FRP像を良く見かけます。
FRPとは「Fiber Reinforced Plastics」の略で、「繊維と樹脂を用いて、強度を向上させたプラスチック」の事です。
遊園地などにあるキャラクター像の多くはそうですね。
キャラクター像はカラフルに彩色されているので、「銅像」では無い事はどなたでも分かると思います。
しかしながら、いかにも銅像らしく金属風に着色していると、一般の方は気がつかない事が多いようです。

何故、銅像ではなく、FRP像を作るかというと、製造コストが安いからです。
それは販売価格にも反映されますので、安く銅像風のものが購入出来るのです。
もちろん金額面だけでなく、銅像に比べて軽量のため、運搬や設置工事が簡単というメリットもあります。

「世の中に意外とたくさんあるFRP像」
世の中には、銅像に見せかけたFRP像がかなりあります。
いかにも古めかしいお寺の仏像にも、FRPのものが多数あります。
当社はお寺からの修復依頼が多いのですが、かなりの確率でFRP像に出会います。

住職にお話を聞くと、「銅像と思って買った」という事が、かなりあります。
このように、銅像だと言われて、騙されて買ったのであれば大問題です。
しかし、FRP製と分かっていて買っているのであれば、別に構わないのです。
誰かに迷惑がかかっている訳ではないのですからね。
私も、その事実を暴いて得意になっている訳でも、「FRPが悪い!」と言っているのでもありません。
銅像かFRP像かによって、修復方法が異なる事を言っているのです。

銅像も永久に強度がある訳ではありませんが、FRPに比べると圧倒的に頑丈です。
表面の着色や部分的な腐食は進行しても、よほどの事が無い限り、形状そのものが大きく崩れる事はありません。
対して、FRP像は銅像より耐用年数が劣ります。

紫外線や風雨により劣化が進行し、ある時に亀裂が出来て割れる事もあります。
しかし、定期的に着色と表面コーティングを行えば、その寿命はかなり延びます。
言い換えれば、定期的なメンテナンスをしないで放置すれば、見た目が悪いだけでなく、崩壊の危機もあるという事です。

お手頃価格のFRP像ではありますが、そのメンテナンスは銅像よりも気をつけないといけません。

FRP像であっても、皆様に「銅像」として親しまれているのならば、尚更きちんとメンテナンスをして「銅像」であり続けないといけません。
当社にお任せ頂ければ、「自然な経年変化の緑青色」をFRP像に着色し、高級感のある美しい『銅像』に見せる事も可能です。